今回はピアニスト・指揮者として国内外で活躍する長谷川ゆきさんに、クリスマスに聴きたいクラシック音楽を10曲選んでいただきました。

管弦楽曲、合唱曲、室内楽、ピアノ曲にいたるまで、幅広い選曲をお楽しみください!


皆様こんにちは。

シナプスでクラシック音楽のオンラインサロン「ラ・ボン・ジュルネ」を主宰しております長谷川ゆきです。今日は、クリスマスをテーマにした作品の中から、私が是非皆さんにに紹介したいと思う楽曲を10曲ご紹介します。

それでは早速いってみましょう!

管弦楽曲

1.サミュエル・バーバー作曲:「クリスマスに」Op. 37(注1)(約17分)

1960年アメリカ・ボストンで作曲。アイデア豊富で飽きさせないバリエーション(変奏曲)。メドレーで派手さもありながら軽くならず、しっとりと締めくくります。フランスに長くおりますと、アメリカの作品からは朝型の人が多い国らしさというか、朝の清々しさのような感じを受けます。

 

2.チャイコフスキー作曲:バレエ音楽「くるみ割り人形」(組曲版は約23分)

1892年ロシア・サンクトペテルブルクで作曲。何を隠そう私自身が子供の頃、ある時期毎日のようにぐるぐると、この曲のレコードばかりかけていました。ドイツのホフマンによるクリスマスの夜のメルヘンを原作とした、空想的作品です。この時期日本でもバレエ公演もたくさん行われています。

 

合唱・独唱の入っているもの

3.ルトスワフスキ作曲:「20のポーランドのクリスマス・キャロル」(注2)(約40分)

Lutoslawski: Twenty Polish Christmas Carols – Lacrimosa – Five Songs – アントニー・ヴィット, Jadwiga Rappe, Olga Pasichnik, ポーランド国立放送交響楽団 & Polish Radio Choir of Kraków

1984-9年ポーランド・ワルシャワで作曲。全体的には民謡調で優しさを湛えながら、ハーモニーも拍子も実は遊び心いっぱい、自然にその中へ引き込まれます。クリスマスの曲となると、他の作曲家は個性を出すのは不謹慎とでも思っているのか、その人らしさが出ていない作品も多い中、果敢に独自の世界を展開しています。

☆この曲集から5曲の抜粋が聴ける演奏会:2016年12月18日東京・立川「魅惑のポーランド音楽をあなたに!」

 

4.ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲:「クリスマス・オラトリオ」(注3)(約2時間半)

 1734年ドイツ・ライプツィヒで作曲。全6部構成、1日に1部ずつ演奏するように作曲されましたので全編はとても長いです。気軽に聴いてみるには抜粋のCDもお薦めです。出だしから快活さに溢れ、元気になれる音楽です。

 

5.ヘンデル作曲:オラトリオ「メサイア」(注4)(約2時間半) 

ドイツ出身、1741年ロンドンで作曲、アイルランド・ダブリンで初演。先のバッハと同年生まれの作曲家です。作風の違いを聴き比べると面白いと思います。優美に流れるメロディーラインは、やんちゃな(失礼!)バッハとまた違った趣があります。

 

ピアノ曲

6.マルティヌー作曲:「ノエル(クリスマス)」H.167(約5分)

チェコ出身、1927年パリで作曲。3曲からなる組曲。愛らしさと華やかさが同居しています。2曲目の子守歌は後半で「寝られるわけないでしょ!」というくらいに交響的に盛り上がるのでご注意を。

 

7.メシアン作曲:「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」(約2時間10分) 

1944年パリで作曲。メシアンは鳥の声を模した作品を多く書き残しているのが特徴的です。神秘的というよりはオープンマインドで常に明るさを持って響き、壮大な静謐さが表現されているように思います。

 

室内楽

8.ジョリヴェ作曲:ノエルのパストラール(田園曲・牧歌)(約12分)

1943年パリで作曲。ジョリヴェはフルートとハープを多用した作曲家で、それにバソン(フランスのファゴット)を加えた三重奏のための、4曲からなる組曲。ジョリヴェおなじみの呪術的で謎めいていながらどこか懐かしい雰囲気で、後半は素朴な民謡調になっていきます。

 

オルガン曲

9.ダカン:「オルガンまたはチェンバロのクリスマスの新しい曲集」より第10番「グラン・ジュとデュオのノエル」(注5)(約6分)

オルガン曲はクリスマスに合ったものが大変多いので、オルガニスト廣江理枝氏にお聞きしましたら、居合わせたオルガニストの皆様で第1位に挙げられたのがこの曲。1757年パリで作曲。12歳から教会オルガニストを務めた天才児の60代の時の作品だけあって、オルガンの響き・効果を知り尽くしている感があります。豪華絢爛な響きが楽しめる作品です。

 

10.マルセル・デュプレ: 古いクリスマスによる変奏曲Op.20(約20分)

1922年パリで?作曲。クリスマスを讃えるというよりは、主題にクリスマスの素材を使った変奏曲です。私もこの系列の作曲書法教育に触れましたので、パリ音楽院だなあというきっちりした書法を感じますが同時に大胆な味付けもあり・・まあ聴いてみてください。デュプレは始めにピアノを習ったとあり、その感じはちょっとします。
☆この曲が聴ける演奏会:2016年12月23日・大阪「クリスマス・オルガンコンサート」

さいごに

いかがでしたか。クラシックを滅多に聴かない方は、意外と「マイナー」とされている曲のほうを好まれたり、難解と言われる「現代曲」のほうを「古い曲より親しみがあった」と仰る事もあり、私自身もとても刺激になります。

各作曲家の時代と場所と人生に思いを馳せ、しばしファンタジーのひとときをお過ごし頂ければ幸いです。

 

※公演日程、出演者、プログラムなど、予告なく変更となる場合がございます。購入の際には主催者情報などをご確認いただけますようお願い致します。

<参考>
音源紹介にあたっては、主にFacebookグループ「クラシックを聴こう!」メンバーの皆様に推薦盤をご紹介頂きました。ご協力ありがとうございました。

注1:「Op.○○」とは「Opus(=作品)」の略で、1人の作曲家に対して作品毎に付けた整理番号です。「Op.」の代わりに作品整理に当たった人の頭文字のアルファベットが付く事もあります。ヨーロッパ内でも曲名は表記がいくつもある場合が多く、作曲家名と番号を入れる事で検索ヒットしやすくなります。

注2:「キャロル」とは、中世以来のイギリスの民衆的なクリスマス祝歌。(広辞苑より)ただしこの場合は元はポーランド語の曲名の日本語訳に英語のカタカナ表記を用いているので、単にポーランドの『クリスマスの歌』の意
注3:「オラトリオ」とは、祈祷所の意味で、演奏会形式の宗教的音楽劇。(広辞苑より要約)
注4:「メサイア」とは、キリスト教で、イエスが救い主たることを表す尊称。(広辞苑より)
注5:「グラン・ジュ」とは、オルガンの音色選択機構(レジストレーション)の名称。トランペット、クルムホルンなどのリード管をメインにした音色の事。


クラシック音楽をこよなく愛する人々が集う「ラ・ボン・ジュルネ」では、長谷川ゆきさんが書くコンサートレポートや国外の音楽事情に関するコラムを配信しています。

クラシック音楽が好きな方やヨーロッパの音楽に興味がある方は、是非一度覗いてみてください!

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