ほんのまち神保町

シナプスのオフィスから自転車を走らせて4,5分ほどで、楽器店やスポーツ用品店がずらりと立ち並ぶ神保町の街並みが見えてくる。だが、なんといっても神保町といえば書店街である。林立する大型書店に加えて、世代最大級とも言われる古書街が街全体を貫いている。

その興りは、火事によって焼けた神田女子高等学校の跡地に、元教師であった岩波茂雄が書店を建てたことにあると言われている。お察しの通り、これが後の岩波書店である。そして、岩波書店の成功をきっかけに知識人や学生がこの街に集まるようになった。

神保町にはインターネットが普及した現在も尚、多くの知識人や学生が本を求めてやってくる。そんなほんのまち・神保町では毎年秋に本にまつわるイベントが行われている。「神保町ブックフェスティバル」と「神田古本まつり」だ。

今回は今年で26回目を迎える「神保町ブックフェスティバル」と57回目を迎える「神田古本まつり」に参加したのでその様子をお伝えしたい。

活気溢れる神保町ブックフェスティバル

神保町ブックフェスティバルは10月29日、30日に街の中心部を走るすずらん通りとさくら通りで行われた。

神保町ブックフェスティバル

神保町に店を構える書店や飲食店の屋台がびっしりと並んでいる。

すずらん通り

客引きの声が飛び交い、老若男女問わず楽そうに街を歩いている。まさに地元のお祭りといった感じだ。

通りを歩いていると「埼玉の古墳」「埼玉のグルメ」など埼玉県にまつわる本が並ぶお店が目に止まり、埼玉県出身の私は足を止めた。私の故郷はどんな取り上げ方をされているのだろうか。さっそく本を開いてみると、未だ見ぬお店や地域の有名人などディープな情報が紹介されており、ついつい読み入ってしまった。店員さんとの埼玉トークにも花が咲き、気になった本を購入するとおまけに埼玉に関するグルメ本を5冊もつけてくれた。

埼玉の本

新品の本が半額になっていたり、一冊100円という値段で売られていたりするため、ついつい気になる本を手にとっては購入してしまう。普段はもっぱらAmazonで本を買うことが多く、ここ最近衝動買いをしていなかったこともあり、久しぶりに味わう高揚感がたまらない。

半額

本の他にも雑誌、雑誌広告の切り抜き、画材、レコードなども販売されており、じっくり見ると数店舗で1日が終わってしまうほどの充実ぶりだ。

雑誌広告

画材

レコード

路地を抜けると、日に焼けて味のある古本の山が目に入ってきた。マニアックな一角だが、そこにもたくさんの人々が集っている。実に味のある光景だ。

日焼けした本

2時間ほど歩いたところで少し休憩。

腹ごしらえに神保町の名物であるカレーをいただいた。他にも暖かい汁物やお酒も販売されており、歩き疲れて冷えた体には大変ありがたい。

カレー

本の世界に浸る神田古本まつり

一方こちらは「神保町ブックフェスティバル」ともう一つ、同時開催で行われている「神田古本まつり」だ。

神田古本まつり

神田古本まつりは靖国通りに面した歩道で行われている。少し肌寒い夕暮れ時、ぽつぽつと橙色の電球が吊るされている様はなんとも心温まる。

神田古本まつり

神保町に来たことがない人にとって、古書街は読みづらい古典のようなな書物がずらっと並んでいるというイメージがあるかもしれない。しかし、実際にはそのようなことはなく、今も発売している有名雑誌の古本や、ミュージシャンのライブパンフレット、漫画、ドラマの台本なども売られている。

POPEYE

パンフレット

今、話題のボブ・ディランのツアーパンフレットなんかも売られていた。

資料的価値のあるものも多く、作家や漫画家の方も集う古本街。大型書店ではなかなか見ることのないようなタイトルが多く並び、まるでタイムスリップしたような感覚になる。気になる背表紙が並ぶ中、釣りが趣味の私はこの本を手に取らざるを得なかった。

釣本の周辺

この本には、「釣本の周辺」というタイトルの通り、遊戯としての釣りが始まった江戸時代以降から昭和50年あたりまでの釣り本の紹介や、それにまつわる筆者のエピソードなどが書かれている。技術書だけではなく釣りに関する随筆も多数取り上げられており大変興味深い。また第5章「よき時代の「釣り仲間」」には井伏鱒二の名も上がっており、釣り人なら誰もが心躍るエピソードが多数掲載されている。巻末には「釣関係文献目録稿」として随筆本を中心とした約40ページものブックリストがついており、更に釣本を漁ってみたいという気持ちにさせる良書であった。

そうこうしているうちにすっかり日も暮れ、帰路につく。最初は軽かったリュックサックがパンパンに膨れていた。

シナプスでは神保町古書街の名物ビルである神田古書センターでトークライブイベント等を催すことも多く、この街に密着した情報発信を行ってきた。この街の魅力はそんな場所で日々働く私の折り紙付きだ。

神田古本まつりは11月6日までやっているので、皆さんにも是非足を運んでいただけたらと思う。普段の生活では出会うことができない一冊に、きっと出逢えるはずだ。

神田古本まつりの日程とアクセス

第57回 東京名物・神田古本まつり

開催期間:2016年10月28日(金)から2016年11月6日(日)まで
主催:神田古書店連盟

場:神田神保町古書店街(靖国通り沿い・神田神保町交差点他)

アクセス: 都営地下鉄・東京メトロ「神保町」駅
参加規模:参加店 100 店舗、出品点数 のべ 100 万冊余
(参照:http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html)

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