雨の日に外出するのはなかなか気が引けますが、外に出ればいつもと違う街の表情が見られます。雨の日だからこそ撮影できる写真を求めて出掛けてみましょう。

今回はカメラが趣味のシナプス編集部員が雨の日に撮影した写真を、世界で活躍する写真家・ケント白石氏に講評していただきました。ケント白石氏による現像も特別に掲載し、プロの写真家がどう現像するかを学ぶことができる貴重な内容となっております。ぜひ最後までご覧ください。

*この記事は、ケント白石氏が主宰するオンラインサロン「ケント白石の科学的写真術講座」内の講評動画を元に作成しました。

ケント白石

北海道札幌市出身。現在は北海道美瑛町に在住。2011年米国National Geographic社主催で実施されるWeb上の国際フォトコンテストに日本人として初めて入賞。また翌年同じく日本人として初めて米国アップル社の広告に大きく採用され5年間の独占契約を結ぶ。主力販売機種であるiPhoneMacBook Proはもちろん、iPadiPodなどすべての機種の壁紙になる。さらに昨年、新たに3年間の延長契約を結び8年間と言う異例の長期契約となる。またその結果、美瑛町にある「青い池」は世界的に有名になり、町の観光客数の増加に大きく貢献。さらに冬に凍る「青い池」を201412月より冬期間ライトアップするプロデュースを手掛ける。そしてその 撮影した写真は直ぐに世界で話題になり「青い池」に関する一連の作品はWeb上で19ヶ国語に翻訳され世界中で閲覧・観賞されている。写真家として世界に通用する発信力に拘り、また北海道を世界的な観光地にするために、SAMURAI Photographerとして日々作品創作しながら世界に発信中。

シナプス編集部が用意した3枚の写真

シナプス編集部員が撮影した雨に関する写真は次の3枚です。

 

 

 

「階段」、「路地裏」、「庭の植物」とシュチュエーションの異なる3枚の写真。ケント白石氏はこの写真をどう評価し、現像するのでしょうか。それでは早速ケント白石氏の講評に移ってみましょう。


1枚目講評

Before

この写真は訴求ポイントがはっきりしています。水の流れですね。ただし、この写真はパンフォーカスで撮影していないのが致命的です。これは現像ではどうにもできないので、撮影の際に気をつけましょう。今回はピントが合っている部分を横に切りとります。左端の黒い部分は何かわからないのでカットします。構造物の力強さと水の流れをはっきりと出そうと意識して現像した写真が次のものになります。

After

作品名『雨』

水の流れがはっきりと表現できました。ここでポイントです。雨の流れに対して垂直に貫く凹凸が構造物としての力強さを出していることに気づきましたか。元の写真と見比べてみると、元の写真には力強さがないと感じるでしょう。現像には少し高度なテクニックも使いました。実は、雨粒が流れる右側部分は明瞭度を弱く、左側部分は強くしています。右側の明瞭度を上げるとマーブル模様が強く浮き出てしまいます。逆に左側はマーブル模様がないため明瞭度を上げました。

▼特別に講評動画の一部を公開します!

2枚目講評

Before

この写真は訴求ポイントがわかりません。初心者にありがちなのが「訴求ポイントは何?」と聞いても答えられないことです。なんとなく撮影してしまっている人は意外と多い。そのような写真では他人に何も伝わりません。したがって、この写真を現像するにあたり訴求ポイントを考えることから始めましょう。僕は光の挿す壁と木を訴求ポイントにしました。葉の鮮やかな緑をうまく伝えたいですね。ただし、このままでは壁や木に目がいきません。ほとんどの人は写真中央の最も明るい部分に目が向きます。人間の目は明るいところから見てしまいますからね。だから、この部分はぐっと光量を下げましょう。そうすることで、まず緑に目がいき、壁に目がいき、奥の人へと目線が移るので遠近感が表現できます。左側の構造物はごちゃごちゃしているのでカットしスッキリさせます。現像したものが次の写真です。

After

作品名『路地裏に射す光』

いかがでしょうか。全く違う作品になりましたね。光と影が演出できています。いかに訴求ポイントを考えることが大切か分かっていただけたかと思います。

3枚目講評

Before

この写真が一番表現が難しかった作品です。この写真も訴求ポイントが不明瞭なのですが、おそらく葉っぱの形とその葉につく雨粒だと思います。形がはっきりしているのは中央の大きな葉っぱ2枚です。ただ、この2枚だけをトリミングすると絵にならない。上の葉っぱを1枚入れても、三角形にトリミングするわけにはいきません。なので4枚の葉をいれてトリミングします。問題はこれをトリミングして明るくしたところで、それほどのインパクトを出せないことです。なんとか雨粒をはっきりと見せたい。もともと深い緑色のみで彩度のない写真です。だったらモノクロにしてしまいましょう。

After

作品名『雨粒』

葉っぱの形の面白さが伝わる写真になりました。また、雨粒をダイナミックに、力強く表現できたと思います。もし僕だったら、写真を撮るときにモノクロにすることを想定して構図も変えて撮影します。完成イメージを頭に描いて撮影することを心がければもっと良い写真になったでしょう。

最後に

いかがでしたか。どの写真も訴求ポイントを明確にすることでまるで別の写真のように変化したと思います。

撮影にも現像にも言えることですが、まず完成イメージが頭に描けなければ良い写真にはなりません。皆さんもこのことを頭に入れてカメラライフを充実させましょう。

ケント白石の科学的写真術講座 - 世界に発信しよう
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