あなたは今「幸せですか?」

そう問いかけられても、すぐに言葉を返せる人はなかなかいないと思います。

それは、人生に絶望しているとか、死んでしまいたいぐらい苦しいことがあったとかではなく、ただ「幸せだよ」と言い切ってしまうのはちょっと違う、そんな漠然とした不足感をどこかで感じているからなのだと思います。

この物語の登場人物、奈緒もそんな女性の一人です。

『大学を出て、ちゃんとした仕事について、お給料で好きなものを食べて、気に入ったお洋服を買えて、両親も大病はせずに元気に暮らしている。…(中略)…それなのに、毎日に満足しているかと問われたら首を縦に振ることはできない。』

奈緒もわたしも、完全な幸せとは何なのか、そもそも完全な幸せが本当にあるのか、考えることもないままに、毎日に小さな不足を見つけては、その不足するピースに悩まされています。

それは決して珍しくない、多くの人が感じている悩みでしょう。

取るに足らない悩みと向き合う

作中で奈緒はこう言っています。

『すごく不幸せじゃないから、他の人にとってはわたしの悩みなんて、取るに足らない悩みかもしれません。』

本書は、奈緒が偶然見つけた「メンタル・ジム」という不思議な場所で出逢った、ヒカリという女性のカウンセリングを受けながら人生に変化をもたらすきっかけをつかんでいくお話です。

失恋したとか、仕事で失敗したとか、大きな出来事をきっかけとしたわだかまりは、誰かが悩みに寄り添ってくれることを期待しながら、誰かに相談する自分を肯定することができます。でも、小さな毎日の悩みはそうではありません。自分の中でさえ、取るにたらない悩みだと感じながら、その悩みを誰かに相談することは憚られます。

小さな悩みは、どうして不安なのか、何が苦しいのか、多くを詳細に語ることはできないうえに、こんなことを相談してもいいのだろうか?そんな小さなことで…と言われたらどうしよう?と、自分の中にその悩みをとどめてしまいがちです。けれど、それでは漠然とした不足感は解消されることはないのです。

本書はそんな方に向けられています、

あまりにも普通で、取るに足らなくて、だからこそ、誰にも話せなかった、でも確かに感じている悩みを奈緒はメンタルジムのカウンセラー・ヒカリに相談します。

そこに登場する悩みや漠然とした不安の多くは、本を読んでいる自分の言葉にできなかった感情と少しずつ重なっていきます。すると、ヒカリから奈緒への、優しく寄り添い、時に厳しい、新たな視点を与えてくれる言葉たちは、いつのまにかに自分に向けられた言葉となっていきます。

ヒカリのカウンセリングを受けたことで、新たな視点を得ることができた奈緒から見える世界の意味は変わっていて、どこか満ち足りたような気持ちになっています。

読書の持つ力

読書は一人でするものです。でも、だからこそ他人には決して言えない自分の内面と向き合うことができるのかもしれません。誰にも言えない小さな悩みを、奈緒とヒカリのやりとりを通じて昇華していく・・・本書を読むことを通じて、物語の力や読書という行為の意味を再確認させられたような気がします。

この本を閉じた後、そこには奈緒と同じようにすっきりとした顔持ちで、不足のピース探しではなく、幸せのピースに気付きながら、明日を前向きに捉えられるようになったあなたがいるでしょう。

ちゅうもえの楽屋にいらっしゃい♪
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