“西田ゼミ”

西田亮介

今回は社会学者・西田亮介氏が主宰する「新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」のリアル読書会の様子をお届けしたいと思う。

と、その前に。冒頭からいきなり話が脱線してしまい恐縮だが、少しばかり自分の話をさせて頂けたらと思う。「新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」の魅力は、その後に存分にお伝えしたいと思うので、30秒ほど付き合って頂けたら幸いだ。

私は今、インターン生としてSynapseで働いている。大学を留年したのをきっかけに、持て余した時間を少しでも有意義に使おうと思ってのことだ。

そして、大学は今年9月に”秋卒業”という制度を使って「4.5年」かけて秋卒業した。決してギリギリというわけでもなく・・・私は順調に留年を決めた。それくらい、授業はサボりがちだった。

なのに、なぜだろう。

大学を卒業してしまった途端に勉学の場、議論の場が恋しくなってくる。秋からは仕事の面でSynapseに最大限の貢献をしようと決めていたにも関わらず、今更ながら学びへの意欲が沸々と湧いてくるのだ。

そんな時であった。Synapseで「新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」がスタートすることとなった。サロン募集文に目を通した時、

「これだ―!」

と思わずにはいられなかった。

私は、Synapseのメンバーでありながら、一般会員としても”西田ゼミ”に参加させてもらうことに決めた。大学生は、演習授業を正式名称ではなく「教授名+ゼミ」という形で呼称することが多いが、私も例に漏れずこのサロンをそのように呼ばせてもらっている。

”西田ゼミ”は開かれた場だ。諸事情で大学に通うことのできなかった人にも、無為に学生生活を過ごしてしまったことを後悔している私のような人にも、その門戸は開かれている。

思わぬ出来事をきっかけに、私の”学生生活”は延長戦に突入することとなった。

リアル読書会

レジュメ

通っていた大学のゼミすらも休みがちだった私は、こうしたオフラインの集いに参加し、リアルで西田氏や他の参加者たちと触れあう機会に、痛く緊張していた。

西田氏のことはインターネット上でのインタビュー記事や、コメンテーターとして出演しているテレビ番組等を通じて知っていた。政治経済からビジネスに関わることまでフォローしている領域は幅広く、ネット社会論などの現代的なテーマについても大変に詳しい人だ。

しかし、メディアを通して見る西田氏は、常に「冷静」であると言えば聞こえは良いが、正直少し怖い印象があった。

リアル読書会は、参加者有志が準備したレジュメを使って進めていく、大学のゼミのようなスタイルだ。前回に引き続き、課題図書である高原基彰著『現代日本の転機・「自由」と「安定」のジレンマ』を読み進めていく。しかし、今回は用意されたレジュメではなく、ある参加者が持参した「メモ」をレジュメ代わりに議論を進めていくことになった。

チラリと見えたそのメモにはビッシリと文字が書き込まれており、参加者の熱量を感じる。

参加者には学生もいればコンサルタントや社会系ライター、大学職員などさまざまなタイプの人がいる。みな、頭が良さそうだ・・・。

私は冷や汗でもかいていたか、よほど焦った表情でもしていたか。そもそも、そんな私を気遣ったかどうかも分からないが、議論に入る前に西田氏からこんな言葉が飛んだ。

「この場は大学のゼミのように『遅刻厳禁』といったルールはないし、途中参加も早退もOK。もちろん事前に教科書を読み込まなくても議論に参加できる。まさに来るもの拒まずの空間です。」

相変わらず冷静な西田氏の顔が、柔和で親しげに見えた瞬間だった。

『なんだ。優しそうな顔をしているじゃないか。よく考えてみたら、声だって、話の調子だって柔らかい感じの人だ・・・』

我ながら都合の良い性格だと思う。ただ、西田氏はたった一言でそんな風にイメージを180°変えてしまう、妙な説得力のある人だということは記しておきたい。

その後、課題図書やメモの内容を発端として多くの問題提起から、様々な議論が交わされた。日本における解雇規制のあり方や、日本人の政治参加のあり方。そして東工大の准教授である西田氏だからこそ伝えられる大学の裏事情や研究者としての日常など、興味深い雑談もあった。

その後も議論は白熱し、予定時刻を大幅にオーバーしてしまうほど盛り上がった。ゼミが終了してからもオフィスに残ってサロンメンバー同士が各々語りあっていた姿が印象的だ。

大変刺激的だった。

ほんの数か月前まで大学に通っていたというのに。西田氏やゼミで学ぶ仲間たちが、大学に通っていた時の教授や学友以上に近く感じられた。

リアル読書会を終えて

今、私のデスクの上には、早速西田氏が過去にオンラインゼミ上で「今週の一冊」として取り上げた、橋爪大三郎/大澤真幸編著,『社会学講義』と『週刊ダイヤモンド2016年 10/15 号』 が積んである。西田ゼミでは、オンライン上でも「今週の一冊」という形で図書の紹介があり、それも学問的教養を身につけるものから、ライトな雑誌の特集まで様々取り上げてくれる。ここでは詳細を語ることが出来ないが、「今週の買わなくて良い1冊 」というコーナーもあり、天邪鬼な私はそのコンテンツもいつも楽しみにしている。

それ以外にも、遠方の方に向けたリアル読書会の動画や、その時々の時事ニュース解説に至るまで、オンライン上で参加するだけでも盛り沢山な内容だ。

「このゼミは、論破型の議論の場ではなく、どのような人にも門戸が開かれた場である。読書時間が取れない人は、読まずにオンライン上で情報を追うだけでも良いし、そんな状態でもフラっとリアル読書会に現れてくれて良い」

と西田氏は言う。

ここは、最高に自由な学びの場だ。

しかし、一度参加してしまえば、ただ配信される解説や参加者の議論を眺めているだけではいられないかもしれない。

勉学という面では、あれほどまでに劣等生であった自分が、数年ぶりに自分のお金で書籍を買ってしまうようになるくらいなのだから。

また、西田ゼミは始まったばかりであるため、これからどんどん新しいスタイルの学びに挑戦したり、内容についても参加者の要望に応えつつ、有機的に形を変えていく余地がある。ここに、大学とはまた違った新しい学びが生まれてくるのが楽しみでならない。

少しでも学びの機会を欲している方、読書のきっかけがほしい方は、ぜひ一度「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」を覗いてみてほしい。

議論し、学ぶことの純粋な楽しさを再発見できるはずだ。

西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse
西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse
西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse
月1回の読書会を実施します(原則、第3土曜日13時~@都内)。新書、文庫を中心に、教養を深めます。内容の要約、議論を中心に。人の集ま...